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それから数回ゲームをしましたが、結局、先生には勝つことが出来ませんでした。 次第に先生はゲームをしながらオレの指導をするかのように、ぎりぎり手の届く所にボールを落としたり、わざとロブを上げてスマッシュを打たせてきたりしました。 明らかな力の差に悔しさはありましたが、確実に練習になる運びに、オレは充実感を覚えていました。 2時間ほど打ってから、先生はジムに付属しているレストランで夕飯をご馳走してくれました。成長期でしかも運動後だったこともあり、好きなだけ食べろという先生の言葉に遠慮無しにたくさん頼みますと、先生は楽しそうに笑いました。 「先生はあんま食べへんのですね」 オレが美味い料理に舌鼓を打ちながら言いますと、 「腹空かすほど動かなかったからな」 と、なんとも意地悪に返しました。 オレが正直に顔を顰めれば、先生はまた笑いました。 店内は落ち着いたオレンジに近い色合いの照明が落とされていて、先生がゆっくりと回すワインの紅色に反射してきらりと目を射します。練習後に浴びたシャワーのおかげで普段付けているムースが落ち、先生の甘色の髪はさらさらと頬にかかっていました。 皮肉ばかり言うのに、どうにも、見た目の綺麗な人だと思いました。 先生はワインを見つめていました。眼差しは静かで大人の落ち着きを見せていましたが、オレはテニスの時に見せる、あの鋭い眼差しの方が好ましく思いました。 「・・・先生、」 「あん?」 「先生、もうオレの会誌の手伝いも終わって、そんで音楽教師ですし・・・しかも臨時ですし、もう暇ですよね?」 「・・・暇とは失礼なヤツだな」 まぁ確かに暇だが、と先生は頷きました。 オレはその言葉を受けて、先生と打ちながら考えていたことを切り出しました。 「したら、先生。来週半ばにテニス部の部内戦があるんですけど、それまで練習付き合ってくれませんか」 先生は目を丸くして、あからさまに驚いた顔をしました。 どうしてそんな顔をするのかとオレが聞きますと、先生は少し言いにくそうにしました。 「お前、はじめからオレのこと嫌ってたろう? 会誌を仕上げるまでの間や当番で部活に出れない間はしょうがないとしても、それが終わってからも関わる気があるとは思わなかったからな」 「!」 やっぱり気が付かれていたのかと、オレは居心地が悪く、そしてショックを受けました。 先生を嫌っていたのは本当で、また時折の意地悪な発言や態度にはちりちりと苛立ちを覚えていたことは確かです。しかしもう、始めの頃のような絶対的な嫌悪感は、オレの中には無くなっていたのです。 そしてオレは、心の内に気が付きながらも、変わらずよくしてくれた先生に申し訳なくなりました。何よりも、先生を損得で見ていたと知られたことが恥ずかしかったのです。 「ほんまに、勘の鋭い人ですね・・・」 落ち込んだ風のオレを、先生は見ました。 先生は持っていたグラスを静かに置くと、腕を伸ばし、その手をオレの頭に乗せてぽんぽんと叩くように撫でました。 先生にこうされるのは、初めて会ったあの日以来、二度目になります。同じ動作であるのに、あの時感じた不快感は起こりませんでした。 「そういう風に出来てるんだ」 「・・・?」 先生は言いました。その呟きが、オレの言葉に対する返事だと気が付きました。しかしどういう意味であるのかは、その時のオレには、まだ解かりませんでした。 オレは聞いてみたいと思ったのですが、先生の少し寂しそうな様子から、聞くことは躊躇われました。 ほんの少し前のオレは、何か気になることがあってもどうせすぐ切れる縁だと、敢えて踏み込まずにいましたが。しかし今は、先生に対する興味が大きくなっておりました。 地下の寄贈書で、どのような本を探しているのか。 臨時教師を引き受ける以前、今はどのようなお仕事をされているのか。 そして今の、寂しげな表情はどうしてなのか。 他にもたくさん、その髪と瞳の色は何故なのかなど。共にした少しの時間を振り返っただけでも、不思議で知りたいことはいくらでも思い起こせました。 いつか先生が、自分に話して聞かせてくれればいいのにと、オレは密やかに思いました。
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よーし、忍跡っぽくなってきた・・!(自分的) 私はどうにも、 跡部+ワイン が好きです。 このとき忍足少年は何を飲んでいたのか・・・オレンジジュースかな・・? でもワイングラスにソレもアレなので、ぶどうジュースあたりで色を合わせましょう(笑) 次から、ささやかに第一のヤマ場です。 051127 |