赤い情景





ビルの間に沈む真っ赤な太陽を見つめていると、どうしようもない思いが込み上げてくる。

視線を外さずに見続ければ、次第に視界は赤く染まり、
それは何時も、オレに消しようの無い過去の過ちを思い出させた。

夕焼けの色は、血が逆流するほど高い興奮状態にある時の、
あの視界を染める真っ赤な色ととてもよく似ているのだった。



    目を瞑ればより鮮明に、瞑らなくても眼前に浮かび上がる



 泣かせたかったわけじゃない、傷つけたかったわけでもない、

 裏切りなんて考えなかったし、

 壊れてしまうなんて思ってもみなかった


今日もずっと飽きもせずに、彼のことばかりを考えて過ごした。
明日も日がな一日、彼ばかりを思ううちに時間は過ぎていくのだろう。

モノクロームの現実は、寒いこの時期には淋し過ぎるから。
鮮やかなあの笑顔に心を和ませても、誰も何も言うことは出来無い。



    目を瞑ればより鮮明に、瞑らなくても眼前に浮かび上がる



ゆらゆらと頼りなく揺れて、やがて夜の闇の中に飲まれてしまうというのに。
もうオレでは、彼の手を引いて、その場から連れ出すこともかなわない。

 手を振り切ったのは自分の方だった。

 離さないと誓ったのも自分だったのに。



勝手ばかりで、悪かった。
君の手前、どうしても素直になりきれなかった。
よく動く口は、肝心なところで言葉の発し方を忘れてしまうようで。

音にならないまま喉の奥に消えていった、言いたくて言うことの出来なかった言葉を、 オレは今更、何度も呟いている。
君が居ない空間で、眼前の君の幻に向かって、

何度も何度も、謝罪と想いを、喉の痞えが無くなるまで何度も、





 『 ごめんなさい、 君が好きです 』









小ネタです。
コンセプトは『跡部様を好きだが告白できずに傍でずっと親友を演じ続けていたけれど耐え切れなくなってさようなら』(長い)でした。
私は、千石が跡部様を『君(きみ)』と呼ぶのが好きです。

041111



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