この恋が枯れても






きっともうこれ以上に彼以上に 恋しく思う人なんて現れないよ、絶対に




優しくすれば跡部は喜ぶ。

表情や態度には出さないけれど、なんとなく纏う空気が柔らかくなっていると気付く。
オレはそれが嬉しくって、自分でも異常だと思うくらいに、ベタベタに跡部を甘やかしてしまう。
跡部はというと、そんなオレをウザそうに睨み付けるのだけれど、でも結局はそれを受け入れているのだから嫌ではないのだろう。
オレの勘は外れてはいない。
いや、もしかしたら呈のいい下僕が出来た、くらいに思っているのかも知れない。
けれど樺地にはさせないことを自分に許してくれている辺り、やっぱりちょっとは特別に思ってくれているのだろう。

それなのに。

オレが優しくすれば嬉しそうにするくせに、
優しくすればするほどに、オレに心を許してくれなくなるのはどうしてだろう。



「怖いんか?」


何度聞こうと口を開きかけたか解からない。
けれど跡部を前にしては、その言葉は音として発せられることはなく。いつも溜息に変わって吐き出される。

『優しくするな』と言われても、優しくしないではいられない。
『好きとか言うな』と言われても、言わずにいられるわけないじゃないか。


だってオレはお前が好きなんだ。



雨の燻る夏の日、旧校舎の第二音楽室で初めて跡部に出逢った。
きっと一目惚れだった。
あのとき抱いた淡い恋心は、跡部を見る度に大きくすくすくと育っている。

嫌がられても否定されても、求める事を止められない。
無理矢理にでもどんな手を使ってでも”全て”が欲しいとか、餓鬼のように彼を貪り尽くしてしまいたいとか。
そんな凶暴性を腹の中に溜め込んでいる。


「跡部・・・」

怖いのはオレの方だ。
このままずっと、跡部がオレに応えてくれなかったら・・・
オレはいつか、跡部を追いかけるのを諦めてしまうんじゃないかと。



跡部を手にすることが叶わなかったら、オレはもう二度と恋なんて出来ないのに。







ロマンスを求めて

忍足は跡部様のことが、とにかくもう自分でもどうしようもないというくらいに好きだといい。
これが最後の恋だとか思っちゃってたらいい。
そんな忍足がいい。(相手にとって不足無し/笑)

050426



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